ANAプレミアムエコノミーに関して、大きな変更点がいくつか出てきましたのでまとめておきたいと思います。
- 上級会員向けプレミアムエコノミー席への無料アップグレードが終了
- マイルやアップグレードポイントを使ったプレミアムエコノミーへのアップグレード特典の開始
- 国際線特典航空券にプレミアムエコノミーが追加
これら内容について解説していきます。
【2019年9月30日まで】上級会員向けプレミアムエコノミー席への無料アップグレード特典が終了
ANA「ダイヤモンドサービス」「プラチナサービス」メンバー、SFC会員に提供されている「エコノミーからプレミアムエコノミーへの無料変更」特典サービスは、2019年9月30日搭乗分(日本時間)をもって終了することが発表されました。
予約クラスに関わらず、搭乗手続きの際に空席がある場合は、無料でエコノミーからプレミアムエコノミーにアップグレードできました。
この特典の恩恵が大きく、SFC取得を目指していた方も多かったのではないでしょうか・・?
私もその一人です…
私は過去1度だけですが、特典航空券で発券したエコノミークラスでしたが、その無料アップグレード特典を受けることができました。
ホノルルから東京までの便でしたが、それなりフライト時間がありますので、快適なシートにアップグレードできたのでとても楽なフライトでした。
ホノルルマラソンの帰りでしたので、身体的にはなおさら有難かったですね。
同じ路線に搭乗するにしても、この特典を目当てにあえてプレミアムエコノミー設定のある機材を使用する便にしたりすることも、来年2019年9月30日搭乗分までで終了となります。
これはだいぶ残念な変更ですね…
ANAはプレミアムエコノミー席への事前入札(オークション)制を導入したりして、なるべく有償フライトで席を埋めるようにして客単価を上げる施策を打ってきています。
そして新たに、マイルやアップグレードポイントを使ってプレミアムエコノミーへアップグレードできる特典が開始されることになりました。
プレミアムエコノミーへのアップグレード特典提供の開始
これまでプレミアムエコノミーへのアップグレードというのは、上級会員向けに搭乗手続き時に空席があれば無料でアップグレードできるという方法がありました。
このプレミアムエコノミーへのアップグレード方法が、マイルやアップグレードポイントを使用してアップグレードするように変更となります。
対象者が事前入札(オークション)制を利用して有償でアップグレードするという方法もありますがこれは継続します。
対象便・対象予約クラス
対象便
2020年4月1日以降のご搭乗分のANAグループ便(ANA/エアージャパン)
※ANA便名で他社が運航するコードシェア便や他社便名でANAが運航するコードシェア便は利用できない
対象予約クラス
旅程開始エリア | 対象予約クラス |
---|---|
日本地区旅程開始/日本地区以外の旅程開始 | Y/B/M/U/H/Q/V |
予約:搭乗スケジュール
予約開始日:2019年9月下旬(予定)から搭乗便出発時刻の24時間前まで
搭乗開始日:2020年4月1日
必要マイル数・必要ポイント数
必要マイル数
マイルを使ってアップグレードする場合は、区間基本マイレージを基準にして以下のように決まります。
区間基本マイレージ | 必要マイル数 |
---|---|
0~2,000 | – |
2,001~3,500 | 15,000 |
3,501~4,500 | 15,000 |
4,501~5,500 | 20,000 |
5,501~ | 20,000 |
区間基本マイレージはこちらのページから確認できますが、東京からの主要な目的地で一覧にしてみると以下のようになります。
目的地 | 区間基本マイレージ | 必要マイル数 |
---|---|---|
バンコク | 2,869 | 15,000 |
シンガポール | 3,312 | 15,000 |
クアラルンプール | 3,338 | 15,000 |
ハワイ | 3,831 | 15,000 |
バンクーバー | 4,681 | 20,000 |
ニューヨーク | 6,723 | 20,000 |
ヨーロッパ各地 | ※ページ参照 | 20,000 |
距離に比例して必要マイル数が上昇していくわけではなく、現状は2段階の設定になっているので、距離が長いほどお得感があるという感じでしょうか。
ただ、対象となる予約クラスは比較的運賃が高い航空券ですので、場合によってはセールとかでプレミアムエコノミー席を直接購入したほうがお得かも知れませんね。マイルも100%積算になりますし。
必要ポイント数
アップグレードポイントを利用してアップグレードする場合は、以下のようになります。
ビジネスクラスへのアップグレードに必要なポイント数の半分となっていますね。
アップグレードポイントの使い道が増えた点は良い変更ですね。
なお、東アジア路線にはプレミアムエコノミーの設定がありませんので、記載はありません。
注意点
- 同一便に対し、エコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレードとエコノミークラスからプレミアムエコノミーへのアップグレードの同時申し込みはできません。
- エコノミークラスからプレミアムエコノミーへのアップグレードを申し込んだ場合、さらにビジネスクラスへのアップグレードはできません。ビジネスクラスへのアップグレードを希望する場合、払い戻しのうえエコノミークラスからビジネスクラスのアップグレードを新たに申し込むいただく必要があります。
- 国際線特典航空券とアップグレード特典の併用はできません。
- 空港では払い戻しのお手続きができません。
大きな注意点としては、国際線特典航空券とこのアップグレード特典の併用ができないという点でしょう。
このアップグレード特典は、エコノミークラスの有償航空券(予約クラス:Y/B/M/U/H/Q/V)が対象ということです。
これまでは、国際線特典航空券でエコノミークラスを発券しても上級会員向けの特典でプレミアムエコノミーにアップグレードできる可能性はありましたが、エコノミーで発券したらエコノミーのままで確定ということになります(インボラを除いて)。
上級会員向けプレミアムエコノミーへの無料アップグレード予約キャンペーン
今回の変更に合わせて、ダイヤモンド・プラチナメンバーおよびSFC会員に向けた先行キャンペーンが、以下のような内容で開催されます。
対象
2019年度「ダイヤモンドサービス」メンバー、 「プラチナサービス」メンバーおよび、ANAスーパーフライヤーズ会員のお客様
対象搭乗期間
2019年10月1日(火)~2020年3月31日(火)
アップグレード予約可能期間
2019年9月下旬(予定※)~ご搭乗24時間前まで
対象予約クラス
全てのエコノミークラス
※キャンペーン終了後は、上記アップグレード特典の予約クラスが適用されます。
空席待ち
当日までお預かり。
注意点
- 国際線特典航空券とアップグレード特典の併用はできません。
- 本キャンペーンでご利用いただける座席数には、限りがあります。
- アップグレード特典をご利用の場合、「フライトマイル」および「ANAプレミアムポイント」の加算はご購入された航空券のクラスに基づき計算されます。
- 機内でアップグレードは承ることができません。
- アップグレード特典の空席待ちをされる場合は、あらかじめご利用になる全区間のご購入済み航空券が必要です。
先行キャンペーンということですので、やはり、国際線特典航空券との併用ができません。
あくまで有償エコノミー航空券が対象ですが、すべての予約クラスが対象になっていて、しかもこのキャンペーン期間は無料でアップグレードできるということですので、上級会員向けにある程度配慮しているのかなという印象を持ちました。
キャンペーンの位置づけに対する考察
上記記事内容をしっかりと読むと、とあるギャップがあることに気づきます。
既存の上級会員向け無料アップグレード特典は2019年9月30日まで、プレエコへのアップグレード特典の予約開始が2019年9月下旬、搭乗開始が2020年4月1日以降となっています。
図にしてみるとこんな感じになりますね。
2019年10月1日から2020年3月31日までの半年間は、プレエコにアップグレードできるサービスがありません。
そこにこの上級会員向けキャンペーンの期間を当てはめてみると、、
ちょうど、その空白期間を補うようなスケジュールで開催されていることがわかります。
来年9月末で特典をバッサリ終了という感じでもなく、国際線特典航空券との併用はできずあくまで有償エコノミー航空券を対象としたキャンペーンですが、すべての予約クラスで無料でアップグレードの受け付けを行うという内容は、上級会員に対してある程度の配慮が感じられソフトランディングを狙っている印象を受けましたね。
ANA国際線特典航空券プレミアムエコノミーの予約が開始
ここまでは、プレミアムエコノミーへのアップグレードに関する内容について紹介しました。
そして今度は、マイルを使った特典航空券でプレミアムエコノミーの予約ができるようになります。
路線にもよりますが、今後は
- エコノミー
- プレミアムエコノミー
- ビジネス
- ファースト
の4クラスすべてを特典航空券で発券できるようになります。
予約・搭乗開始スケジュール
予約開始日:2018年12月5日 15:00~
搭乗開始日:2019年4月1日
必要マイル数
こちらのページから確認できますが、日本発(Zone1)での必要マイル数(往復)は以下のようになります。
例えば、シンガポールやバンコクなどはアジア2に属しますが、レギュラーシーズンでの必要マイル数(往復)をみてみると、
- エコノミー(Y):35,000マイル
- プレミアムエコノミー(PY):51,000マイル
- ビジネス(C):60,000マイル
となっており、プレエコとビジネスの差は9,000マイルです。
他にも、ホノルルでも同様に必要マイル数(往復)をみてみると、
- エコノミー(Y):40,000マイル
- プレミアムエコノミー(PY):58,000マイル
- ビジネス(C):65,000マイル
となっており、プレエコとビジネスの差はさらに小さくなりわずか7,000マイルです。
必要マイル数と機内サービスのバランスを考えればビジネスクラスのほうが良いような気もしますが、現状はビジネスが空いてなければエコノミーのみしか選択肢がありませんから、少しでも快適なフライトにしたいということであればプレエコも選択肢に入ってくるのかも知れませんね。
国際線特典航空券はエコノミークラスで発券すれば、インボラでもない限りはエコノミーで確定してしまうことになりますので、この状況をどう考えるかはそれぞれの価値観によるところかなと思います。
まとめ
ANAプレミアムエコノミーに関して、以下の大きな変更点について現状でわかっている範囲でまとめました。
- 上級会員向けプレミアムエコノミー席への無料アップグレードが終了
- マイルやアップグレードポイントを使ったプレミアムエコノミーへのアップグレード特典の開始
- 国際線特典航空券にプレミアムエコノミーが追加
やはり上級会員向けに提供されていた、プレミアムエコノミーへの無料アップグレード特典が終了という点が一番インパクトがありますかね。
この特典目当てでSFC取得を目指したり、マイルの使い方としても利用してきた方も多いことでしょう。
この点では改悪と言えると思いますが、上級会員向けのキャンペーンも開催されますしマイルやアップグレードポイントの使い道も増えましたし、悪い点だけではないようにも思います。
何よりANAはボランティア団体ではなく営利の上場企業ですので、しっかりと利益を残すことを前提とした上で、顧客満足度も上げていく企業であって欲しいと思っています(既存のステークホルダーに何も言えずに利益を貪られてしまうのは経営としては愚の骨頂だと思っています)。