近々バンコク(あとシンガポールも)に行く予定があるので、ANAマイルで提携航空会社を利用した特典航空券を発券しようと考えています。
通常であれば、日本とバンコクを往復する旅程で特典航空券を発券するパターンだと思いますが、提携航空会社利用時における特典航空券発券ルールを最大限活用することで、1回分の必要マイル数で海外2往復することが可能です。(ただし、「2往復」という表現はいろいろ語弊がありますので、その理由については後ほど説明します)
今回は、その方法について詳しく説明したいと思います。
ANAの提携航空会社特典航空券について
「提携航空会社特典航空券」は「スターアライアンス特典」と言ったりもしますが、ANAも加盟するスターアライアンスグループの加盟航空会社便にANAマイルを使って搭乗できるというものです。
その仕組みや条件などはこちらのページに詳しく説明されていますが、今回の趣旨の理解に必要な要点を以下でも説明していきます。
対象便
以下のようなスターアライアンス加盟航空会社で特典航空券に空席があれば利用することができます。
すべての旅程がANA国際線であればANA国際線特典航空券のルールが適用されますが、一部旅程はANAで、それ以外はスターアライアンス加盟航空会社といった、複数の航空会社を組み合わせて特典航空券を発券することができます。
これとは別に、ANAがスターアライアンス以外に個別にマイル提携している航空会社があります。
これらはスターアライアンス加盟航空会社の場合と違い、航空会社を組み合わせて特典航空券を発券することができません。単一でのみ利用することができます(例えば、ベトナム航空でハノイ往復の特典航空券を発券するなど)。
出発地と目的地のゾーン
スターアライアンス特典における、ゾーニングは以下のようになっています。
ゾーン | 対象国 |
---|---|
1-A、1-B | 日本 |
2 | 韓国 |
3 | アジア1(グアム、台湾、中国、フィリピン、香港、マカオ) |
4 | アジア2(アジア1以外のアジア) |
5 | ハワイ |
6 | 北米(アメリカ合衆国、アラスカ、カナダ、メキシコ) |
7 | 欧州 |
8 | アフリカ、中東 |
9 | 中南米 |
10 | オセアニア |
日本だけゾーンが二つ(1-Aと1-B)に分かれた設定になっていますが、それ以外の国はいずれかのゾーンに属するようになっています。
日本出発での2つのゾーン(1-Aと1-B)
【ゾーン1-A】が適用される旅程は、以下のような場合と説明されています。
- 国際線往復2区間のみの旅程
- 国際線往復2区間に加え日本国内のみで乗り継ぎをしている旅程
- *Zone 1-Aの設定がない場合には、Zone 1-Bが適用になります。
- *Zone 1-AとZone 1-Bを組み合わせて使うことはできません。
これはつまり何を言っているかと言うと、国際線単純往復では【ゾーン1-A】が適用され、海外で乗り継ぎ(途中降機含む)がある場合は【ゾーン1-B】が適用されるということです。
必要なマイルも、ゾーン1-Aに比べるとゾーン1-Bは3,000から5,000マイルほど多く必要になっています。
また、ゾーン1-Aの設定がないアフリカ、中東、中南米は、ゾーン1-Bのマイルチャートが適用されます。
必要マイル数
日本発着の場合、必要マイル数は以下のようになっています。
ゾーン1-Aの場合
こちらは、ANAのレギュラーシーズンと必要マイル数は変わりません。
ゾーン1-Bの場合
今回の趣旨においては、途中降機や乗り継ぎを行いますので、こちらの【ゾーン1-B】のマイル数が必要になります。
ゾーンやクラスによっては増加マイル数は変わってきますが、よく見比べてみるとエコノミー(Y)とビジネス(C)はゾーン1-Aから同じ増加マイル数ですので、ビジネスのほうがよりお得感があるということになりますね。
途中降機の扱い
途中降機とは「24時間を超える滞在」、乗り換えは「24時間を超えない滞在」のことを指しますが、これを上手く活用することが肝です。
スターアライアンス特典においては、途中降機と乗り換えは以下のような制限があります。
途中降機 | 乗り換え |
---|---|
日本発・海外発ともに途中降機は、目的地以外に往路・復路いずれか1回可能 | 日本国内で往路・復路各2回まで可能 日本以外で往路・復路各2回まで可能 ※目的地は乗り換えの回数に含まない |
旅程の制限
途中降機や乗り換えの回数に制限があることを紹介しましたが、どのような旅程を組んでも良いわけではなく、以下のようにいくつか制限があります。
- 出発地からの必要マイル数が最も高い地点を目的地とします。
- 往路・復路それぞれの最初の都市、または最後の都市を経由するような経路となる地点を目的地にすることはできません。
- 乗り換え地点には、制限があります。(世界一周の旅程は除く)
- 出発地からの必要マイル数がより高いゾーンの都市を乗り換え地点にすることはできません。
また、乗り換え地点から目的地までの必要マイル数が出発地から目的地の必要マイル数を上回るような乗り換えはできません。- 出発地と最終帰着地が異なる場合、同一国内であることが必要です。
- 往路到着地と復路出発地が異なる場合、同一エリア内であることが必要です。
- 往路到着地と復路出発地が異なるゾーンになる場合、必要マイル数は各ゾーンで必要とされるマイル数の2分の1の合算になります。
赤太文字にした箇所がより重要な点でしょうか。
作成してみた旅程を参考に、これらの制限を詳しく確認してみましょう。
スターアライアンス特典を使った海外2往復する旅程例
個人的な例で恐縮ですが、メインはバンコク(+シンガポール)に行く予定があるので、それを参考に見てみましょう。(以下の旅程例は参考に作成したものであり、実際に私が搭乗するスケジュールとは少々異なります)
私は福岡市に住んでおりますので、出発も到着も福岡になっています。
旅程例1:目的地をバンコク、東京で途中降機、おまけでホーチミン往復する
まずは旅程表をご覧ください。
旅行先を海外1往復目がバンコク、2往復目ではホーチミンという旅程になります。
まずは往路を見てみると、最終目的地がバンコクでそれまでに台北、香港と乗り換えを行っています。乗り換えは「日本以外で往路・復路各2回まで可能」ですので、この制限はクリアしています。
台北での到着・出発で日付が変わっていますが、ギリギリ24時間未満の滞在ですので途中降機ではなく乗り換えとして扱われます。上手くフライトスケジュールが合えば、こうして現地に軽く1泊滞在できるようにも組めます。
バンコクが目的地ですのでそこで数日滞在し、その期間中にLCCとかでシンガポールを往復して、復路出発もバンコクにしています。
ここまではまぁ大丈夫だと思いますが、この後の復路がなかなかアクロバティックな旅程になっています。
復路におけるポイントは以下です。
- 途中降機は目的地以外に往路・復路いずれか1回可能
- 乗り換えは日本以外で往路・復路各2回まで可能
- 途中降機は乗り継ぎ回数に含まれる
復路でも乗り換えは2回まで可能で、往路では途中降機していませんでしたので復路で利用し、それを【東京】で利用します。
そうすることで、24時間以上の滞在が東京で可能になり、ここで一旦1つの旅行を区切ることができます(そこから自分で別に手配して自宅に帰ればOK)。
その後また旅行を開始するわけですが、東京で途中降機していることになっているので、また自宅などから東京まで移動し、”海外2往復目”をスタートさせます。
ここまでを整理すると、復路においてはバンコクを出発して東京で乗り換え(実際は途中降機)しただけなので、まだあと1回乗り換えが可能です。その乗り換えをこの例ではホーチミンで行うということになります。
ただし可能なのはあくまで「乗り換え」ですので、滞在できるのは24時間未満という制限がかかります。東南アジア路線でなるべく24時間に近く滞在できるフライトスケジュールだったのがホーチミンでしたので、”おまけ”という表現にしていますが旅程例のようにホーチミン弾丸トラベルを楽しむことができます。
つまり復路においては、「東京」と「ホーチミン」で乗り換えを行って目的地(バンコク)から日本に帰ってきた、という解釈になります。
また、復路の最初の乗り換えを東京にしているのは、「2.往路・復路それぞれの最初の都市、または最後の都市を経由するような経路となる地点を目的地にすることはできません。」という制限をまずクリアするためです。
この制限に該当する都市は、今回の例では「福岡」と「バンコク」ですので、これ以外の都市で乗り換えを行う必要があります。
またもう1つの理由としては、東京は日本発着便が最も多く、デイリー運行している路線も多いですので、復路で必要になる24時間以内の現地滞在で往復できるようなスケジュールを組むには、やはり東京をうまく活用することがポイントだと思います(路線によっては大阪(関空)でも可能かも知れません)。
他に「4.出発地からの必要マイル数がより高いゾーンの都市を乗り換え地点にすることはできません。また、乗り換え地点から目的地までの必要マイル数が出発地から目的地の必要マイル数を上回るような乗り換えはできません。」という制限もありますので、2往復目は最終目的地の属するゾーンを超える都市で乗り換えをしないようにしましょう。
記事の冒頭で”2往復と表現するには語弊がある”と書きましたが、それは東京で途中降機していて、例えば私の例で厳密に言えば福岡まで戻って来て初めて”往復”と言えますが、あくまで東京は乗り換え扱いのため、そこに国内線を含めるわけにはいかず、自分でその移動手段を手配する必要があります。
その場合、ユナイテッド航空やブリティッシュエアウェイズのマイルで、ANAやJALの国内線を利用するのも有効ですね。
また2往復目も、乗り換え扱いのために海外現地滞在時間が24時間以内という制限があるため、弾丸トラベルになってしまうという点も、数日楽しむような旅行とは言えない事情もあります。
ですので、そこはビジネスクラスにすることによって、むしろフライト時間を快適に楽しむということでカバーすると良いのではないでしょうか?
ちなみに、この旅程での必要マイルと税金などはこのようになります。
ビジネスクラスに6回搭乗して63,000マイルですから、1搭乗あたり10,500マイル(国内線もあるけどそれは無視で・・)。そう考えると、かなりお得さが際立ちますね♪
旅程例2:目的地をバンコク(復路出発はシンガポール)、東京で途中降機、おまけでホーチミン往復する
旅程1ではバンコクからシンガポールを往復する予定で考えていましたが、
「そう言えば、往路到着地と復路出発地を別な都市にできるよね〜」
と思い出し、以下のような旅程も可能でした。
こちらも旅行先として、海外1往復目がバンコク(バンコクから自分で手配してシンガポールに移動し復路出発はシンガポール)、2往復目がホーチミンという旅程になります。
この旅程では、「6.往路到着地と復路出発地が異なる場合、同一エリア内であることが必要です。」という制限がありますが、バンコクとシンガポールは同じエリア内ですので、このパターンは可能となります。
LCCなどで往復するよりも、復路出発をシンガポールにすることによって片道の移動手配だけで済むし全体的に時間にも余裕ができるので、実際にはこの旅程で行こうかなと考えています。
ただこの旅程だとANAの788に2回搭乗することになってしまうので、旅程1にある77Wのフライトも捨てがたいよなぁなんて思ったり、バンコク-成田間にはA380が運行されているのでそれを狙いたいなんていうのもありますよね(笑)
参考までに、この旅程での必要マイルと税金などはこのようになります。
必要マイル数は旅程例1と同じですが、シンガポールを利用することによるのか少し税金などの費用が増えますね。
実際に発券した旅程例
実際に発券して旅行に行ってきた例も紹介します。
海外2往復目の空席を探す方法
今回のような、複数都市を乗り継いで行くような旅程は、以下のように「複数都市・クラス混在」メニューのほうでフォームに1便ごとに設定して検索していきます。
注意しなければならないのは、スターアライアンス特典は、特典航空券発券時にすべての便で席を確保出来なければ発券できません。ANA特典では空席待ちが可能なのですが、残念ながらそうはいきません。
空席がなかったり途中で制限がかかってしまうような便・スケジュールを選択してしまうと、最初からやり直しになってしまい、これがなかなかシンドいのです…(せめて途中からやり直しになりませんかね・・ANAさん)
特に”海外2往復目”で選択している際にやり直しになると、それはそれは心が折れますので、、、私は最初にその日程や便などを別に検索してある程度目星を付けていました。
そして利用したいクラスが、例えばどうしてもビジネスクラスを利用したいという場合には、クラス混在検索だと1便ごとに検索になってしまうのでなかなかスムーズに検索できません。
以下の方法だと、”単純往復”する場合に限られますが(例えば、東京-ホーチミンなど)、それでも予めクラス別に空席状況が分かっているだけでも、特に混雑する時期などにはとても有効です。
ざっくりクラス別空席状況だけでも調べるには、以下のように進めます。
路線や日程を選択し、「クラス」を選択し「前後3日の空席を比較」にチェックを入れ、検索します。
すると以下のような画面で、搭乗クラスに応じた、選択した往路日に合わせて復路の空席状況を確認できます。そうすることで、空席のないスケジュールを選択してしまうことを防げます。
この画面では、ANA直行便以外の他社便、乗り継ぎ便を含めた空席状況が分かります。
他に、「ANA国際線 特典カレンダー」というページも用意されていますので、ANA便だけでフライトを組みたい場合にはこちらでも同様のことは可能です。
こちらでも目的地やクラス別の空席状況を確認することはできますが、6ヶ月先の月末までしか表示されませんので、それより先の予定を組みたい場合には最初の方法が有効です。
まとめ
ANAマイルを使った、提携航空会社利用時における特典航空券発券ルールを最大限活用することで、1回分の必要マイル数で海外2往復する方法についてご紹介しました。
旅程例を見ていただくとわかりますが、なかなか変則的なスケジュールも含まれますし弾丸トラベルでも構わない方向けな印象はありますね。
今回は東南アジア路線でご紹介しましたが、これはヨーロッパ路線でも同様に可能です。まぁヨーロッパ弾丸旅行はツラいでしょうけどね…
貯めたマイルは使ってなんぼですので、出来るだけお得に使ってみたいという方はぜひチャレンジしてみてください!