2017年2月発券分より、ANAとJALで、日本発の国際線航空券で燃油サーチャージの徴収が始まることが発表されました。路線別のサーチャージ料金などまとめておきたいと思います。
燃油サーチャージの徴収はどのように決められるのか?
2016年4月から2017年1月発券分については燃油サーチャージの徴収はありませんでした。気になるのは、どういった基準で燃油サーチャージを徴収する/しないを決めているのでしょうか?
燃油サーチャージの徴収基準
ANAのサイトには以下のように説明されています。
原則として本運賃額を2ヶ月間固定とします。設定された2ヶ月間は航空燃料価格の動向により運賃額を変更することは致しません。なお、関係国政府の認可状況に応じた変更については、この限りではありません。 本運賃の改定指標となる航空燃料価格については、改定時点における直近2ケ月のシンガポールケロシン市場価格の平均を用いることとします。ただし、2015年4月以降分日本円の場合はその平均価格に同期間の為替レート平均を掛け合わせた価格を適用いたします。- 日本発旅程はシンガポールケロシン市場価格の平均に同期間の為替レートの平均を掛け合わせた価格が6,000円を下回った場合、本運賃を適用いたしません。
あまり聞き慣れない「シンガポールケロシン市場価格」というものが出てきましたね。
シンガポールケロシンとは、シンガポールの市場で取引される燃油のことで、また、その価格の意味でも用いられます。「ケロシン(kerosene)」は石油から分留される成分であり、灯油やジェット燃料などの原料となっています。
シンガポールの市場におけるケロシン価格はアジアでのケロシン価格の基準として用いられているため、この価格を基準にANAやJALなど各航空会社は燃油サーチャージを徴収するかしないかを都度改定しています。
シンガポールケロシン市場価格価格推移
2014年から現在までの価格推移を見てみましょう。
※クリックで拡大表示できます
2014年は120円前後で推移していて、2015年になる頃には70円前後で推移しています。そして2015年12月くらいには、基準と言われている60ドルを下回り始めていることが読み取れると思います。
直近1年間の推移も見てみましょう。
※クリックで拡大表示できます
40ドルを下回っていた時期もあって2016年4月以降から2017年1月末まで徴収が無かったのですが、2016年3月頃から徐々に上昇していますし、ドル円も円安に振れてきていますので、結果として基準を上回ることになり、徴収が再開したわけですね。
今回の改定では「2016年10月~11月の2ヶ月平均値」を基準にして計算した結果(10月から11月のシンガポールケロシンの市況価格は平均58.69米ドル、1米ドル106円)、基準の6,000円を上回ったので2017年2月1日〜3月末までの2ヶ月間に発券する航空券で徴収されますが、ケシロン価格が急落したり円高になったりして基準を下回れば、また徴収されないことになります。
2017年2月以降発券のANA&JALの燃油サーチャージ料金一覧
ANAの場合
まずANAの場合です。
旅行開始国が日本かそれ以外かで、燃油サーチャージの徴収額が変わります。(以下は、1旅客1区間片道当たりの金額です)
旅行開始国が日本の場合
路線 | 徴収額 |
日本=欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニア | 3,500円 |
日本=ハワイ・インド・インドネシア | 2,000円 |
日本=タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア | 1,500円 |
日本=ベトナム・グアム・サイパン・フィリピン | 1,000円 |
日本=中国・香港・台湾・マカオ | 500円 |
日本=韓国 | 200円 |
ヨーロッパ往復だと往復7,000円、ハワイ往復で4,000円、シンガポール往復だと3,000円といった具合に、追加で徴収されることになります。
旅行開始国が日本以外の場合
路線 | 右記以外 米国ドル |
欧州で購入の場合(英国以外) ユーロ |
英国で購入の場合 英国ポンド |
日本=欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニア | 適用なし | 適用なし | 適用なし |
日本=ハワイ・インド・インドネシア | 適用なし | 適用なし | 適用なし |
日本=タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア | 適用なし | 適用なし | 適用なし |
日本=ベトナム・グアム・サイパン・フィリピン | 適用なし | 適用なし | 適用なし |
日本=中国・香港・台湾・マカオ | 適用なし | 適用なし | 適用なし |
日本=韓国 | 適用なし | 適用なし | 適用なし |
旅行開始国が日本以外の場合には、燃油サーチャージの適用がありません。
したがって、海外発券は燃油サーチャージが徴収されないことになります。
JALの場合
次にJALの場合です。基本的にANAと変わりません。路線が多少異なるだけで、エリアとしての徴収額は一緒ですね。
旅行開始国が日本かそれ以外かで、燃油サーチャージの徴収額が変わります。(以下は、1旅客1区間片道当たりの金額です)
旅行開始国が日本の場合
路線 | 徴収額 |
日本=北米・欧州・中東・オセアニア | 3,500円 |
日本=インドネシア・インド・スリランカ・ハワイ | 2,000円 |
日本=タイ・シンガポール・マレーシア | 1,500円 |
日本=グアム・フィリピン・パラオ・ベトナム | 1,000円 |
日本=中国・台湾・香港 | 500円 |
日本=韓国・極東ロシア | 200円 |
旅行開始国が日本以外の場合
路線 | 徴収額 |
日本=北米・欧州・中東・オセアニア | 徴収なし |
日本=インドネシア・インド・スリランカ・ハワイ | |
日本=タイ・シンガポール・マレーシア | |
日本=グアム・フィリピン・パラオ・ベトナム | |
日本=中国・台湾・香港 | |
日本=韓国・極東ロシア |
SFC修行&JGC修行における注意点とは?
今回の改定を端的に言えば、「日本発着の国際線航空券で燃油サーチャージが徴収される」ということです。
言い換えると、
- 国内線は徴収されない
- 海外発券の航空券は徴収されない
ということでもあります。
まぁ、そもそも国内線では燃油サーチャージを徴収することはありません。基本的には、燃料コストの変動は運賃内で調整されているためで、別途諸経費という形では徴収していないんですよね(国内線の運賃は事後の届け出制であることも関係しているそうです)。
また、今回の改定では、ANAと、JALともに海外発の航空券では燃油サーチャージの調整はありませんでした。ということで、海外発券は単価的には変わらずに修行に使えることになりますね。
国内線を主体としてSFC修行される方はこちらを参考にしてください。
国際線を主体にSFC修行される方はこちらを参考にしてください。
ただ、日本発着路線は燃油サーチャージが加算されるため、早めに発券するようにされたほうが良いですね。特に以下のルートは注意してください。
まとめ
ANAとJALで、2017年2月1日〜3月末までに発券する日本発着の国際線航空券で燃油サーチャージの徴収が再開しました。往復で最大7,000円となります。ただ、海外発券分は適用外ですので、気にせず購入することができます。
SFCやJGC修行を行う方で、日本発着の国際線に搭乗を予定している方は、2017年1月末までに購入するようにしたほうが良いですね。
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